
朝、仕事を始める前にメールを開く。ある社長の受信箱に、「LLMO対策のご案内」という件名が見えます。別の案内には「GEO対策セミナー」。先日読んだ記事には「AIO」と書いてありました。
「AI検索への対策というのは分かる。でも、これは全部違うものなのだろうか」
そんな場面を、少し想像してみてください。
前号では、「お客様は、問い合わせの前にAIに聞いている」という変化について書きました。では、その変化を受け止める会社側には、何が起きているのでしょうか。
新しい言葉を覚える前に、何を指しているのか、自社の仕事とどう関係するのかを確かめたい。僕たちも、そこから一緒に考えたいと思っています。
今回は、言葉を整理してみます。
「ホームページのことは制作会社にお願いしている。SEOという言葉なら聞いたことがある。でも、LLMOは初めてだ」
先ほど想像した場面の社長なら、そんなふうに感じるかもしれません。
案内を読むと、どちらにもAI検索への対応が書かれています。ただ、何をするのかを比べようとすると、説明に出てくる言葉がまた違う。片方にはLLMO、もう片方にはGEO。AIOとの関係も、読んだだけではつかめません。
「今のホームページとは別に、何かを用意するのだろうか」
「SEOをお願いしている会社に、これも相談すればいいのだろうか」
「それとも、それぞれ別の依頼先が必要なのだろうか」
疑問が浮かんでも、専任のWeb担当者がいなければ、社長自身が説明を読み、判断することになります。意味を調べるだけで時間がかかりそうだと感じたら、メールを閉じたくなるのも自然なことです。
分からなくて当然です。
今回の話は、略語をいくつ知っているかを試すものではありません。自社に関係する提案なのか、何を頼む話なのか。その判断に必要なところを、順番に確かめていくための話です。
僕たちがまず分けて考えたいのは、「呼び名を理解すること」と「依頼する内容を決めること」です。
言葉の意味が分かっても、自社のWebの何を変えるのかが分からなければ、依頼の判断はまだできません。反対に、略語をすべて覚えていなくても、作業内容を具体的に説明してもらい、自社に必要かどうかを考えることはできます。
たとえば、提案を読んだときに、「これは会社の説明を書き直す話なのか」「サービスの紹介を詳しくする話なのか」と、自分たちのWebに置き換えてみる。
略語の説明と、自社のWebで行う作業。その二つを行き来できるようになると、確認したいことも見えてきます。
すぐに詳しい人になろうとしなくて大丈夫です。まずは、同じように見える言葉が、なぜ並んでいるのかを整理してみましょう。
AI検索への対応を説明するとき、使われる呼び名はまだ統一されていません。会社やメディアによって、AIO、LLMO、GEOなど、異なる言葉が使われています。
それぞれ、意識している対象や説明の出発点には違いがあります。ただし、「ここからここまでがAIOで、その先はLLMO」というように、すべての説明が同じ区切りにそろっているわけではありません。
たとえばAIOは、日本では「AI Optimization」、つまりAI最適化という意味で使われることが多い一方、Googleの「AI Overviews(AIによる概要)」への対策を指す場合もあります。
同じAIOという表記でも、説明している人がどちらの意味で使っているかを確認する必要があるのです。
LLMOは一般に、大規模言語モデルを意識した呼び名として使われています。GEOは、生成AIの回答の中で情報が取り上げられやすくすることを扱う言葉です。
ここでは、英語の正式名称を一度に覚えなくても大丈夫です。まずは、言葉によって説明の入口が少し違う、と受け止めてください。
「LLMOとは」「GEO対策は何の略」「AIOとLLMOの違い」と、意味や関係を調べたくなるのも、こうした状況なら無理はありません。検索語としても、略語そのものだけでなく、「何の略か」「何が違うか」という問いが出てくるテーマです。
ただし、ここで検索する人の数や増え方を示したいわけではありません。僕たちが整理したいのは、呼び名だけでは内容を判断しにくい、という点です。
似た説明に違う名前が付いていることもあれば、同じ名前で違う範囲を説明していることもある。だからこそ、「どの言葉が正しいか」を先に決めようとするより、その説明が何を対象にしているのかを読むことから始めたいと思います。
また、名前が複数あることだけを理由に、別々の契約が必要だと決めることもできません。反対に、似た名前だから内容も同じだと考えるのも、まだ早いでしょう。
提案の名前はいったん脇に置き、対象とするもの、実際に行う作業、確認する結果を見比べる。そのための手がかりとして、次の表を使ってみてください。
まずは、呼び名と意識している対象を並べてみます。これは各用語の範囲を厳密に線引きする表ではなく、提案の内容を読み解くための早見表です。
| 呼び名 | 何の略か | 何を意識しているか | 中小企業にとっては |
|---|---|---|---|
| SEO | Search Engine Optimization(検索エンジン最適化) | 検索で見つけてもらうこと | 自社のWebを見つけてもらうための取り組み |
| AIO | AI Optimization(AI最適化)の意味で使われることが多い。AI Overviewsへの対策を指す場合もある | AIに情報を理解してもらうこと、またはGoogleのAIによる概要への対応 | まず、提案者がどちらの意味で使っているかを確認する |
| LLMO | 一般にLarge Language Model Optimization(大規模言語モデル最適化) | 大規模言語モデルに情報を正しく扱ってもらうこと | 自社のどの情報を、どう整える提案なのかを見る |
| GEO | Generative Engine Optimization | 生成AIの回答の中で情報が取り上げられやすくすること | 回答での扱われ方を意識しつつ、具体的な作業と確認方法を見る |
つまり、中小企業にとって大切なのは、略語に合わせて仕事を分けることよりも、「この提案で、自社の何が整うのか」を理解することです。
GEOは、2023年11月に公開された研究論文「GEO: Generative Engine Optimization」で提唱された言葉です。生成AIの回答の中で、情報が取り上げられやすくすることを扱っています。(出典:arXiv:2311.09735)
このほか、一般にAnswer Engine Optimizationの略として使われる「AEO」という呼び名もあります。答えを直接返す検索やAIを意識した言葉です。
呼び名が増えても、その数だけ依頼項目を増やすと決める必要はありません。何を目指し、何を行うのか。そこを確かめるために、用語を使えばよいと思います。

ここからは、僕たちmimolaの考えです。
言葉ごとに意識している入口は少しずつ違っても、会社の情報を「正確に、具体的に、一貫した形で、最新の状態に整える」という土台は共通だと考えています。
会社が行っていないことを書かない。サービスの内容を曖昧な言葉だけで済ませない。会社概要とサービス紹介で説明が食い違っていないかを確かめる。変更があった情報を、そのままにしない。
どれも、まず自分たちのWebを読み返すところから考えられることです。
僕たちは第3号から、AIOを「AIに企業やサービスを正しく理解してもらうための取り組み」と呼んでいます。
細かな呼び名の違いよりも、何のために情報を整えるのかを、経営者の皆さんと共有したいからです。これは、ほかの呼び名を否定するための定義ではありません。mimolaとして、取り組みの目的を分かりやすく伝えるための言い方です。
その関係を、僕たちは次のように整理しています。
SEO=見つけてもらう。AIO=意味を理解してもらう。
これは、SEOをやめてAIOに乗り換える、という意味ではありません。見つけてもらうための取り組みを大切にしながら、見つかった先で、自社の意味や強みが伝わるように情報を整えていく。その両方を考えたいのです。
たとえば、自社の強みを表す言葉が書かれていても、何を根拠にそう言えるのかが説明されていなければ、内容を具体化する余地があります。実際に公開できる実績や専門情報があるなら、それをどう伝えるかを考えてみる。
ここで目指すのは、AIへの表示を約束することではありません。自分たちが提供している価値を、Web上の説明として確かなものにすることです。
呼び名が変わっても、整えるべき土台は同じ。
僕たちは、この考えを出発点にしています。

LLMO対策やGEO対策の提案を受けたら、次の三つを聞いてみてください。提案する側と、依頼する側の認識をそろえるための質問です。
会社概要、サービス紹介、実績のページなど、対象となる場所と作業を具体的に説明してもらいましょう。「情報を整えます」という説明が、自社のWebでは何を意味するのかを確かめるためです。自社が用意する資料や、社内で確認する内容まで分かれば、依頼後の進め方も考えやすくなります。
どのような状態を目指し、何をもって結果を確認するのかを、依頼前に聞いてみましょう。Webを修正したという作業の完了と、AIの回答でどう扱われたかという確認は、分けて説明してもらうと理解しやすくなります。確認する対象や方法、報告の内容を共有しておけば、お互いの期待もそろえやすくなります。
表示の保証に聞こえる説明があったら、何を約束しているのか、その根拠や条件を確かめてみてください。作業として約束されることと、表示について説明されていることを分けて聞くためです。分からない部分を残したまま契約を急がず、納得できる言葉で説明してもらってよいと思います。
参考になるのが、Google自身の説明です。
Googleは、検索の「AIによる概要」やAIモードに表示されるために、追加の要件や特別な最適化は必要なく、これまでのSEOの基本が引き続き大切だと説明しています。また、AI向けの新しいファイルや特別な構造化データも不要としています。(出典:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)
これはGoogleの検索機能についての説明です。すべてのAIサービスに、そのまま広げて受け取らないようにしましょう。
そのうえで、提案を受けるときには、「どの検索・AIを対象に、何を行うのか」を確認したいところです。専門的な作業が含まれる場合も、その目的を自社の言葉で理解できるまで聞いてみてください。
今日は、届いた提案書やメールを一つ開き、第5号で紹介した五つの確認ポイントに当てはめてみましょう。
使い方は、提案に書かれた作業が、このうちのどれにつながるのかを考えるだけです。
「会社の説明を整理する」という提案なら、一つ目のポイントと照らし合わせる。「サービスの紹介を見直す」なら、二つ目のポイントで、どこまで具体的にするのかを聞いてみる。こうした読み替えは、提案を理解するための仮の当てはめ方です。
どのポイントにも当てはまらない作業があっても、それだけで不要だと判断する必要はありません。「この作業には、どんな目的がありますか」と確認するための印を付けておきましょう。
また、実績の掲載を提案されたなら、公開できる情報が社内にあるかを確認する。情報の更新を提案されたなら、どの情報が古く、誰が確認できるかを考える。提案の言葉を、自社で動ける仕事に置き換えてみてください。
五つすべてを、一度に直そうとしなくても大丈夫です。まず一つ、説明が足りないところや、事実と違うところが見つかったら、そこから相談を始めてもいいと思います。
分からない言葉は、その場で意味を聞いてかまいません。
「それは、うちのWebでは何をすることですか」
この一言を、提案を読むときの手元に置いておいてください。

AIO、LLMO、GEO。呼び名には、それぞれ意識している対象や説明の入口の違いがあります。
ただ、名前が違うというだけで、別々の取り組みが必要だと決まるわけではありません。何を整えるのか。どう進めるのか。結果をどう確かめるのか。依頼するときは、その中身を見ていきましょう。
僕たちが大切にしたいのは、「自分たちは何者か」をWeb上で正しく伝えることです。どんな仕事をして、何を提供できて、それを支えるどんな情報があるのか。言葉が変わっても、この土台は変わりません。
AIに選ばれる。人にも選ばれる。
そのために、まずは自社の説明を一つ、確かめるところから始めてみませんか。
では、会社の情報のどこから整えるか。次回は、会社案内・会社概要を考えます。
まずは、自社のWebの今の状態を確認してみましょう。

株式会社ミモラ
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